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編集室水平線のニュースレター「ひとりから、長崎から」第6号(2023.9.29)
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こんにちは。編集室水平線の西浩孝です。
ニュースレター「ひとりから、長崎から」第6号をお届けします。
《注》
※今回は「海岸線」(内容紹介参照)を書くことができませんでした。
※「海岸線」の位置に、【報告】を掲載しました。
(このレターは、PCで読まれることを想定しているので、スマートフォンでは
読みにくいかもしれません。あらかじめご了承ください。)
***
ニュースレターの内容紹介です。
「新着情報」では、文字どおり、水平線および水平線の刊行物に関する最新の
情報をお知らせします。
「作業日誌+α」は、ニュースレターが隔月配信なので、その2か月のあいだ
にメモした短い記録をいくつか掲載します。「+α」とあるのは、編集作業と
は関係のない記述も含まれているためです。
「海岸線」は、編集人(わたし)による書きものです。そのときに書きたいこ
とを自由に書いていきます。
「本棚の本」では、水平線(わたし)の本棚にある本を紹介します。これは、
フェイスブック、インスタグラムに投稿しているものと同じです。とくに感想
も解説も付けていないので、なんともそっけないコーナーです。
「『雨晴』から」は、オンラインマガジン『雨晴』(suiheisen2017.com)のなか
から、公開済みのひとつを選んで、一部または全部を掲載するものです。今回
は西尾漠さんの連載「極私的原子力用語辞典」第16回の一部をお見せします。
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それではどうぞご覧ください。
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【新着情報】大谷良太詩集『方向性詩篇』書評 ほか
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大谷良太詩集『方向性詩篇』(5月刊)の書評が、『詩人会議』9月号に掲載さ
れました。評者は北島理恵子さんです。
〈「僕」と「君」と二人の子「ジュニ」の物語は、日本と「君」の祖国らしい
韓国、そして現代の不穏な世界を行き来する。越えられない違和は単に異国に
対するものではない。例えば表題作の冒頭「この街に降る雨が伝説を濡らして
いる。/僕の躰からは酷い石鹸の匂いがする。」にある「匂い」は、「この街」
のものなのか、「僕の躰」から発せられる自国の体臭なのか。読み手はその、
様々に解釈できる表現の中に、己の思考の不確かさをも重ね合わせる。確かな
のは三人が一緒だということ。一緒であり孤独、人間は実に不思議だ。〉
水平線のウェブサイト、「本文公開」で所収の7篇を読むことができます。ま
た、「内容紹介」にある中尾太一さん、駒ヶ嶺朋乎さんによる推薦文もご覧く
ださい。
https://suiheisen2017.jp/product/708/
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11月に、増補新版『言葉と戦争』(藤井貞和著)を刊行します。
旧版(大月書店、2007)は、第8回日本詩人クラブ詩界賞を受賞しました。
以下は増補新版の目次です。
詩織
砂に神の誘い子を置く
Ⅰ 言葉と戦争
言葉と戦争
Ⅱ 詩のするしごと
教科書、戦争、表現
詩のするしごと
日本語の境域—言語の〈エスニシティー〉試論
Ⅲ Eメール往復書簡(ハルオ・シラネ/藤井貞和)
カノン、カウンターカノン
Ⅳ 物語問題片
物語は解き明かされたか
シ(ー)ディ(ー)カ
ほんとうの物語敗北史とは
ほんの二〇分まえ、イラクが戦争を中止するというニュースがあった
Ⅴ アジア、社会、個人
戦争責任論争と問題点
思想は騙るか
フィリピン史研究者
大地の幻に対す—あるいは日本一九三六〜四〇年代戦争と読者
時代の写し絵—一九三六〜四〇年代戦争と読者(続)
日本社会の〈うたとは何か〉
Ⅵ 心の風景
心の風景
敗戦
祖父
Ⅶ 増補
「文学の言葉」と「非戦の言葉」
「黒雲」考
旧版(大月書店刊)あとがき
増補新版へのあとがき
初出一覧
「湾岸戦争論」「戦争から憲法へ」細項
索引
以上。関連書に『非戦へ 物語平和論』(2018)があります。
https://suiheisen2017.jp/product/566/
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ポッドキャスト、やってます。
現在お聴きになれるのは、第1回「自己紹介」から第8回「『方向性詩篇』」
までです。
チャンネル登録がまだの方は、どうぞお願いいたします。チャンネル名は「編
集室 水平線 Podcast」です。AppleまたはGoogleのポッドキャストで「編集室
水平線」と検索してみてください。
iPhoneやiPadでは、ホーム画面上にポッドキャストのアイコンがすでにあるは
ずです。Androidの場合は、Google Playから「Google Podcasts」をインストール
してください。
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オンラインマガジン『雨晴』を、だいたい週に1回のペースで更新しています。
この間に公開したのは、以下のとおりです。
●中里佳苗『生きた「吹き溜まり」 「湘南プロジェクト」の記録』 第10
回〜第12回「生きた吹き溜まり 日本語教室が生まれた土壌」
https://suiheisen2017.com/category/nakazato-kanae/
●亀山量『戦争』 第6回「一日中、マリファナを吸う少年兵」
https://suiheisen2017.com/kameyama-ryo/2323/
●西尾漠『極私的原子力用語辞典』 第16回〜第18回「再稼働」「再処理工
場」「JCO臨界事故」「事故隠し」「司法リスク」「使用済み燃料」「スリー
マイル島原発事故」「全国原子力科学技術者連合」
https://suiheisen2017.com/category/nishio-baku/page/2/
●諸屋超子『くたばれ』 第6回「愛しの唐変木」
https://suiheisen2017.com/moroya-choko/2369/
●新原道信『過去と未来の“瓦礫”のあいだで』 第4回〜第5回「“廃棄物の反
逆”」
https://suiheisen2017.com/category/niihara-michinobu/
●上野朱『本のおくりびと』 第6回(最終回)「婆ちゃんたちが待っている」
https://suiheisen2017.com/ueno-akashi/2433/
●姜湖宙『ストライク・ジャム』 第6回「知らせ」
https://suiheisen2017.com/kang-hoju/2448/
オンラインマガジン『雨晴』は、アプリ「編集室 水平線」内で公開しています。
以下のページから、お手持ちのスマートフォンやタブレットに、インストール
をお願いします。
https://suiheisen2017.jp/appli/
『雨晴』はsuiheisen2017.comでも読むことができますが、アプリを入れると、
毎回プッシュ通知で更新情報が届きますので、こちらを推奨しております。
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【作業日誌+α】2023年8月〜9月
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●8月3日(木)
増補新版『言葉と戦争』の原稿整理が終わった。来週から組み始める。2007年
刊行の旧版は、いま見ると技術面がけっこう悲惨だ。藤井貞和先生は装丁も気
に入らず、カバーを外して持ち歩いていた。申し訳ない。
●8月9日(水)
11時2分、黙祷のサイレンが鳴る。台風6号の接近にともない、原爆犠牲者慰
霊平和祈念式典は例年の平和公園から60年ぶりに屋内に変更し行われた。岸田
文雄首相、各国駐日大使の参列は見送り。テレビで鈴木史朗市長の「平和宣言」、
被爆者代表の工藤武子さん(85歳、熊本市)の「平和への誓い」を聞く。夜中
に大雨。
●8月13日(日)
日帰りで東京へ。なかの芸能小劇場にて「神田香織・伊織 親子会〜夏の戦争講
談新作お披露目〜」。開演14時半。木戸銭3000円。今後の企画にかかわる内
容だったので強行軍。感銘を受ける。「長崎でもぜひやりたい」と伊織さん。
帰り、羽田空港で崎陽軒のシウマイ弁当を買いたかったが探すのがめんどくさ
くなり適当にした。
●8月21日(月)
受注した校正仕事がぜんぜん終わらない。25日が納品日だったが、お願いして
10日間のばしてもらう。午後、整形外科へ。痛めている左肩の治療。夜のニュー
スで、政府は福島第一原発にたまっている汚染水(断じて「処理水」ではない)
を早ければ24日に海に放出する予定だと言っていた。2013年、安倍晋三元首相
の「アンダーコントロール」発言を思い出す。あれから10年が経過した。
●9月4日(月)
午前中、ワシントンD.C.在住の友人とオンラインで話す。1年ぶりくらい。3時
間ほど。明日はLabor Dayで休みとか。土日も休まなかった私は、コーヒーを
がぶ飲みしながら、なんとか締切仕事を終わらせた。納品後の請求書作成はた
まらない。
●9月9日(土)
藤井貞和先生から『言葉と戦争』初校ゲラ到着のご連絡。「なかなかたいへん
な量と中身とです」とメールにある。四六判で約350ページ。先生、1942年生
まれ。がんばって! 夕方、昨日から急に動かなくなったMacのキーボードを
ココウォーク内の「カメラのキタムラ」(Appleの代理店)に持っていく。完全
に故障と判明。純正のを新しく買うと2万近くするらしい。ばか。
●9月16日(土)
藤井貞和先生からゲラ戻る。さっそく封筒を開けてゲラの赤字をチェックする。
めくっていると、においがする。ほぼ例外なく、ゲラには著者のにおいが付い
ている。
●9月22日(金)
第25回小野十三郎賞選考会。大谷良太詩集『方向性詩篇』が最終候補に残って
いるため、朝から落ち着かない。時間が経過していく。夕方になっても連絡が
ない。落ちた。共同通信のニュースで、受賞作は江口節さん(73)の『水差し
の水』(編集工房ノア)に決まったことを知る。残念会としてアサヒビアリー
を飲んだ。
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【報告】訃報
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ブックデザイナー・映画批評家の鈴木一誌さんが、8月19日、誤嚥性肺炎のた
め、お亡くなりになりました。73歳でした。
1950年、東京都立川市生まれ。1973年、東京造形大学を中退し、杉浦康平さん
のアシスタントに。1985年に独立。以降、『大辞泉』『鈴木清順全映画』『日
本映画作品大事典』など1万点近くのブックデザインを手がけました。1998年、
第29回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2001年、戸田ツトムさん・入
澤美時さんとともに『季刊d/SIGN』を創刊、2010年18号まで10年にわたりデ
ザイン批評の場を展開しました。また、映画評論、写真評論でも活動し、1981
年に第1回ダゲレオ出版評論賞受賞、1988年から「写真の会」を運営しました。
著書に『ページと力』『重力のデザイン』『画面の誕生』『ブックデザイナー
鈴木一誌の生活と意見』、共著に『デザインの種』『絶対平面都市』『映画の
呼吸』、編著に『知恵蔵裁判全記録』『全貌フレデリック・ワイズマン』『19
69新宿西口地下広場』等があります。
編集室水平線では、鈴木さんのデザイン論集を編集中でした。刊行へ向けて努
力を続けます。
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【本棚の本】『岩波 女性学事典』 ほか
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●『岩波 女性学事典』岩波書店、2002年
●『長崎事典・歴史編』1982年、『長崎事典・風俗文化編』1989年、『長崎事
典・産業社会編』1989年、いずれも長崎文献社
●佐藤正午『月の満ち欠け』岩波書店、2017年/岩波文庫的、2019年
●浅賀俊作『哀愁の街にJAZZが降る 長崎の“ジャズ”喫茶 見聞き聞き書き』
オフィス・タック、2004年
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【『雨晴』から】西尾漠『極私的原子力用語辞典』第16回「JCO臨界事故」
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◉JCO(じぇーしーおー)臨界事故
1999年9月30日、茨城県東海村にある核燃料加工会社ジェー・シー・オーの
東海事業所で起きた日本初の大規模な臨界事故。原子炉の中では臨界はふつう
に起こっていることだが、原子炉以外の場所で臨界が起こると事故になる。日
本で初めて半径350メートル以内の住民265人に避難要請が行われた。
◆ようこそ原子力ムラ
茨城県東海村。幹線道路沿いに立てられている看板には「ようこそ 原子力の
街 東海村へ」の文字があった。1985年に開かれたつくば科学万博を機に、国
道や県道沿いの4ヵ所に設置されたものだ。JCO事故後の1999年11月5日か
ら7日にかけて、「原子力の街」の文字が外された。
村役場の正面玄関の横には「東海村民憲章」の碑がある。村発足30周年を記念
して1985年3月に制定された村民憲章は「わたくしたちは ゆかしい歴史と
原子の火に生きる 東海の村民です」とある。看板と違って、あっさり「原子
の火に生きる」をけずるわけにもいかないのだろう。そのまま残っている。村
の紋章も、そのままだ。「とうかい」の「と」と、原子力を意味するつもりの
γ(ガンマ)線の「γ」と太平洋の波を模様化して、1963年4月1日に制定された。
福島県双葉町中心部の道路をまたぐように掲げられていた「原子力明るい未来
のエネルギー」の大看板は、小学校6年生の時に標語を考案した大沼勇治が「原
発事故の悲惨さと教訓を後世に伝えるためにも残すべきだ」と2011年の福島第
一原発事故の後、撤去反対を町に申し入れていたが、15年12月に撤去され、会
津若松市の福島県立博物館で保管された。
その後、2020年9月に双葉町に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」
に移る。スペースがないとして写真の展示にとどまっていたが、実物展示を求
める声は強く21年3月から屋外に展示されることになった。ただ、劣化する恐
れがあると8月にはレプリカに変更されている。
尻腰のねエ。撤去前は風雨にさらされてたんだぜ。
◆明けまして
事故の翌2000年、原子力関係者の年賀状が、茨城県東海村の原子力関係者の同
人誌『原子力村』29号に載っていた。個人の感想です。
八島俊章(東北電力社長)「原子力で悲鳴を上げています」
望月恵一(元動力炉・核燃料開発事業団理事)「原子力は評判悪く滅入ります」
吉川秀夫(元日本原子力研究所総務部長)「本当に新しいスタートがきれるん
でしょうか?」
(了)
(アプリ「編集室 水平線」のインストールは、以下のURLからお願いします。)
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