内容紹介
目次
著者略歴
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1953年、「らい予防法闘争」のさなかに刊行されたハンセン病者の詩のアンソロジー『いのちの芽』。本書をきっかけに始まった詩人・大江満雄(1906−1991)と全国のハンセン病療養所に暮らす人びととの交流は、約40年に及ぶものだった。
「僕たち/片隅の人は片隅の価値しかないという人たちに抵抗しよう/僕らは待望の日のために/片隅を愛し/人間性の香り高い生活を創ってゆこう」(重村一二「待望の詩」)
「教養講座」の立ち上げ、楽団「青い鳥」の結成、「交流の家」建設運動、そして「らい予防法」廃止後の違憲国家賠償訴訟の闘い。彼らの活動は、詩や文学の領域を超え、社会的な実践にまで広がり、やがて歴史を動かす伏流水となった。
病気が全快する時代になってもなお存続した絶対隔離政策のもとで、ともに詩を書き、学び、対話をつづけた大江満雄とハンセン病者たち。彼らのかかわりは、その時代のなかで、どんな意味をもったのか。私たちがそこから受けとることのできるものは何だろうか。
「生きるとは、年をとることじゃない。いのちを燃やすことや」——本書は、大江によって「来るべき者」と呼ばれた詩人たちが語る、知られざる戦後史、文学史、社会運動史である。
*第28回高知出版学術賞特別賞受賞
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はじめに
第一章 『いのちの芽』のあとさき
多磨全生園 山下道輔さん、国本衛さん
第二章 教養講座のころ
栗生楽泉園 谺雄二さん、越一人さん
松丘保養園 福島政美さん
第三章 「交流(むすび)の家」にこめた夢
栗生楽泉園 コンスタンチン・トロチェフさん
第四章 楽団「青い鳥」とともに
長島愛生園 森中正光さん、河田正志さん、
近藤宏一さん
第五章 私を立ち上がらせたもの
邑久光明園 中山秋夫さん、千島染太郎さん
第六章 語られない体験を詩に託して
大島青松園 中石としおさん、塔和子さん
第七章 待望の詩
菊池恵楓園 『炎樹』の詩人たち
第八章 「来者」の声を受けとめる
星塚敬愛園 島比呂志さん
第九章 医学と詩学とのつながり
神山復生病院 藤井俊夫さんの詩、その他
大江満雄とハンセン病療養所の詩人たちに関する年譜
参考文献
人名索引
ハンセン病療養所一覧
あとがき
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木村哲也(きむら・てつや)
1971年生まれ。神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科博士後期課程修了。博士(歴史民俗資料学)。現在、国立ハンセン病資料館学芸員。著書に、『「忘れられた日本人」の舞台を旅する 宮本常一の軌跡』(河出書房新社、2006年)、『駐在保健婦の時代 1942-1997』(医学書院、2012年)、『宮本常一を旅する』(河出書房新社、2018年)、編書に『大江満雄集 詩と評論』(共編、思想の科学社、1996年)、『癩者の憲章 大江満雄ハンセン病論集』(大月書店、2008年)がある。
※略歴は刊行時あるいは増刷時のものです。
書評・紹介記事一覧
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- 『高知新聞』2017年10月25日(評=片岡雅文[高知新聞編集委員])
- 『多磨』2017年11月号
- 『北海道新聞』2017年11月26日/『西日本新聞』2017年12月10日(評=若松英輔[批評家])
- 『保健師ジャーナル』2017年12月号
- 『同時代史研究』第10号、2017年12月(廣川和花[専修大学准教授])
- 『上毛新聞』2017年12月3日
- 『図書新聞』2017年12月9日(評=越川芳明[明治大学教授])
- 『週刊読書人』2017年12月15日(評=越川芳明[明治大学教授])
- 『西日本新聞』2017年12月19日(評=川口安子[西日本新聞記者])
- 『北國新聞』2018年1月20日/『秋田魁新報』1月21日/『日本海新聞』『大阪日日新聞』1月22日/『新潟日報』1月28日/『河北新報』『茨城新聞』『四國新聞』2月4日/『山陽新聞』2月9日夕刊/『愛媛新聞』2月10日/『福井新聞』『高知新聞』2月11日/『岐阜新聞』2月18日/『山梨日日新聞』2月25日ほか、共同通信社配信(評=中村寛[多摩美術大学准教授])
- 『楓』2018年1・2月号(評=疋田邦男[ハンセンボランティア「ゆいの会」会員]、樹本健[中京大学准教授])
- 『みすず』2018年1・2月号(評=姜信子[作家])
- 『現代詩手帖』2018年7月号(評=中村寛[多摩美術大学准教授])