内容紹介
目次
著者略歴
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「戦争の原因とその回避とについて、人類史的な深い問いかけへ考え進めるようにと、だれかが用意してくれた戦後70年という、日本歴史のすきまではなかったか。第一次大戦後では、世界的に不戦条約(戦争放棄)が構想されても、日本国はそれをおのれに利するように計らったのであり、日中、太平洋戦争下にあっては、戦争にあけくれこそすれ、『戦争とは、非戦とは』という問いから最も遠い時代としてあった。『戦争とは、非戦とは』を根底から問うことが、もしかしたらば戦争学なのだとすると、戦争時代には戦争学から最も遠いところで、その戦争なるものがあらわに人類をたたきのめしている。とするならば、この70年にこそ『戦争とは、非戦とは』を考察し尽くすのでなければ、もうチャンスはない」(本文より)
文学にかかわろうとしている限りにおいて、文学はいやおうなしに、人間性の根源的な悪の現場に、私たちを連れてゆく。戦争という人類的な悪を辞めさせるためには、その根源的な成立理由を曇りなく明るみに曝すことから始めなければならない。——『湾岸戦争論』『言葉と戦争』『水素よ、炉心露出の詩』と書き綴ってきた著者による、戦争論の完結編。
◉解説=桑原茂夫
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平和について考えました/平和
メモへメモから
チェーン 9・11のあとから
Ⅰ
戦争から憲法へ
Ⅱ
福島の表現する詩人たち
声、言葉 次代へ
「二〇一一~二〇一四」と明日とのあいだ
Ⅲ
出来事としての時間が不死と対峙する ブルガリア稿
亡霊の告げ 演劇物語論
新しい文学〈視〉像を求めて 石牟礼道子『苦海浄土』を巡り
『からゆきさん』と『帝国の慰安婦』
Ⅳ
近代と詩と 主題小考
分かってきたことと不明と
資料篇
日本国々憲法(植木枝盛、一八八一) 抄
明治憲法(大日本帝国憲法、一八九〇) 抄
戦争抛棄に関する条約(パリ不戦条約、一九二八) 抄
憲法草案要綱(憲法研究会、一九四六) 抄
日本国憲法(一九四七) 抄
解題
「戦争」のこと 解説に代えて(桑原茂夫)
あとがき
「湾岸戦争論」「言葉と戦争」細項
人名索引
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藤井貞和(ふじい・さだかず)
1942年東京生まれ。詩人、日本文学研究者。『地名は地面へ帰れ』(詩作品書、永井出版企画)、『源氏物語の始原と現在』(三一書房、のち岩波現代文庫)、『釋迢空』(国文社、のち講談社学術文庫)以来、〈詩〉〈研究〉〈批評〉を経めぐるスタイルをつづける。『物語文学成立史』(東京大学出版会)、『平安物語叙述論』(同)、『源氏物語論』(岩波書店、角川源義賞)が物語三部作。『大切なものを収める家』(思潮社)、『「静かの海」石、その韻き』(思潮社、晚翠賞)、『ことばのつえ、ことばのつえ』(同、藤村記念歴程賞・高見順賞)と、言葉による実験が列なる。詩集はさらに『神の子犬』(書肆山田、現代詩花椿賞・現代詩人賞)、『人間のシンポジウム』(思潮社)へ広がり、『春楡の木』(思潮社、鮎川信夫賞・芸術選奨文部科学大臣賞)、『美しい小弓を持って』(思潮社)に至る。短歌形式について考える『うた ゆくりなく夏姿するきみは去り』(書肆山田)、『東歌篇 異なる声 独吟千句』(反抗社出版)もある。岩波講座『日本文学史』は「古代」(三冊)、「口承文学Ⅰ/Ⅱ」、「琉球(沖縄)/アイヌ文学」の編集を担当する。『物語理論講義』(東京大学出版会)はシリーズ「リベラル・アーツ」の一冊。『湾岸戦争論』(河出書房新社)、『言葉と戦争』(大月書店、日本詩人クラブ詩界賞)、『人類の詩』(思潮社)、『水素よ、炉心露出の詩』(大月書店)は時代と拮抗する試み。南島論の集成である『甦る詩学』(まろうど社)で伊波普猷賞。近作に『日本語と時間』(岩波新書)、『文法的詩学』(笠間書院)、『文法的詩学その動態』(同)、『構造主義のかなたへ』(同)、『日本文学源流史』(青土社)、『日本文法体系』(ちくま新書)など。東京学芸大学、東京大学、立正大学の各教授を歴任。コロンビア大学で客員教授を務めた(1992〜1993年)。
※略歴は刊行時あるいは増刷時のものです。
書評・紹介記事一覧
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- 『現代詩手帖』2018年12月号(評=神山睦美[文芸評論家])
- 『図書新聞』2018年12月22日号(評=井川博年[詩人])
- 『季刊 びーぐる 詩の海へ』第42号、2019年1月(評=宗近真一郎[批評家])
- 『図書新聞』2019年1月19日号(評=久保隆[評論家])
- 『図書新聞』2019年5月4日号(対談=添田馨[詩人・批評家])
- 『西日本新聞』2019年5月4日