内容紹介
目次
著者略歴
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生涯で2000人を超える被爆者を訪問し、1000人以上の「声」を聞きとり録音した、稀有な人物の仕事を網羅する全6巻シリーズの第1巻。
「この物語の主人公と、周辺の人々の本名をあかすことはできません。/その理由は、この文章を最後まで読んでくだされば、お判りいただけると思います。/いまから九年前収録され、ある場所に眠っている三巻の録音テープ。/このテープのなりたちをめぐる事実を、自分の記憶が正確なうちに書きとめておくために。/そしてもしできることなら、この文章を読んでくださるあなたにも、この録音テープをめぐるふしぎを、私といっしょに考えていただくために。/私はこの文章を書きました。」(『未来からの遺言』序文より)
被爆者の体験を記録する作業に取り組んでいた著者は、長崎で被爆した吉野啓二さんの話に深い感銘を受ける一方で、それとは矛盾するある思いを抱いた。吉野さんの語りを、自分はどのように受けとめたらよいのだろうか——。
被爆者という存在のありよう、原子爆弾と人間との関係の本質を問いかける『未来からの遺言』と、これをもとに創作された『シナリオ 被爆太郎伝説』との合本。
〈続刊〉
2『原子野の『ヨブ記』 かつて核戦争があった』
3『夏のことば ヒロシマ ナガサキ れくいえむ』
4『歌集 幾萬の黒こげのひと歩みゆく』
5『ヒロシマ ナガサキ 私たちは忘れない』
6『カセットテープ版 被爆を語る』
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未来からの遺言
出会い――集会場にて
吉野啓二被爆を語る
一日目――被爆
二日目――姉さん
三日目――クモの穴
「原子爆弾の効果」――私の被爆者論
暗転
手紙
「国連事務総長への報告」
九州へ
被爆太郎の誕生
山峡の村で――死者を死せりというなかれ
あとがき
被爆太郎伝説
被爆太郎伝説
『被爆を語る』寄贈先一覧
編集者から読者へ(西 浩孝)
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伊藤明彦(1936-2009)
元長崎放送記者。被爆者の「声」を聴き、伝えることに人生をかけた。
1960年、早稲田大学第一文学部卒業、就職。68年、ラジオ番組『被爆を語る』を企画・提案、初代担当者。70年、退職。71年、東京で「被爆者の声を記録する会」を結成。早朝・深夜のパート労働に従事しながら、79年までの8年間で全国21都府県の被爆者およそ2000人を訪問、半数には断られ、約1000人の「声」を聞きとり録音。これらをもとに、音声作品『被爆を語る』(オープンリール版/カセットテープ版)を制作、全国の資料館・図書館等へ寄贈(13か所/944か所)。2006年、被爆者284人が語った394話の肉声をつづって被爆の実相を時系列で再現した音声作品『ヒロシマ ナガサキ 私たちは忘れない』(CD9枚組、約8時間40分)を制作、複製764組を547の団体・施設・個人へ寄贈・贈呈。以上の作業はすべて自費でおこなった。晩年はビデオカメラにより、ふたたび被爆者を取材。08年、吉川英治文化賞受賞。主著『原子野の『ヨブ記』――かつて核戦争があった』。
ウェブサイト「被爆者の声」http://s20hibaku.g3.xrea.com/index.html
書評・紹介記事一覧
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